通院の記録


メガバクテリア症 6
   
− 通院はステータス!? −
ちゅんちきと一緒に
お出かけして
先生に診てもらえるのは
ボクだけです。
 

のび〜る、のび〜る、もち文鳥




ヤッピーだけが通院するようになって、予想外のことが起きた。文鳥たちの関係に変化が生じたのだ。それまでは、やんちゃなチェリーに鷹揚に受けとめるヤッピーといった図式であったのだが・・・。


チェリーは、初めてお留守番した日、ショックのあまり、ご飯ものどを通らなかった。食餌制限中で、ちょっとしかもらえない餌なのに、そのまま残していた。

心配しないように、チェリーの目の前でヤッピーをキャリーに入れ、「ヤッピーさんは病院に行くから、ちぇーちゃんはお留守番しててね」と、よくよく言い聞かせて出かけたから、何が起こったのか理解はしていたはずだ。自分だけ置いていかれたことが、よほどショックだったのだろう。

ヤッピーより一足先に始まった換羽と食事制限のせいもあり、見るに忍びないくらいボロボロになってしまった。栄養が足りてない訳ではない。明らかに精神なものなのだ。好奇心旺盛で活発だったチェリーが、見る影もなくしょぼくれている。

逆に、意気揚々としているのがヤッピーだ。これでは、どちらが病気なんだか分からない。びっくりした。

通院するって、そんなに偉いことなのか!?


あまりにチェリーが不憫であった。その頃、チェリーは食事制限のためペレットしかもらえなかったのだが、ヤッピーはペレットと皮付き餌を半々で食べていた。それをチェリーがうらやんでいるのが痛いほど分かっていた。

「ボクは食べられないんだよね」
とでも言うように、初めのころは我慢していたチェリーだが、ここにきて耐え切れなくなっているように見えた。


文鳥たちの待遇に差をつけたくはなかったし、今後、胃障害が出る可能性も考慮し、いずれはヤッピーもペレットだけにした方がよいだろう・・・という心づもりではいた。


ボクはショックでボボくなりました
(チェリー)



この際、思い切って、ヤッピーの餌もペレットのみにすることにした。

聞き分けの良いヤッピーは、すんなり受け入れてくれて、ほっとした。これで、チェリーも「ボクだけもらえない」といじけることはないだろう・・・。

目の前から皮付き餌が消えた事で、チェリーの精神状態も安定したように思えた。




2007年2月3日(土) 6回目の診察


いつものように、「ヤッピーちゃん、お薬飲んでますか〜?」というご挨拶で診察が始まる。


実はこの日の朝、ちょっとしたトラブルがあった。
土曜の勤務は12:30までだが、朝はいつもより若干早く始まる。通院の日は、帰宅して昼食もそこそこに、大急ぎで支度して出かけ、帰りは20〜21時という、なかなかのハードスケジュールだ。土曜日なんて、1週間の勤務の疲れがどっと出たりするので、つい、注意力が散漫になったりもする。


朝、ヤッピーに薬を飲ませようと、カゴから取り出したところで用事を思い出し、ヤッピーを片手に握ったまま他の事をしていたら、すっかりご機嫌を損ねてしまった。ほんのちょっとの事だったが、“失礼な!”とばかり、ヤッピーはご立腹であった。

ヤッピーは握り文鳥ではない。ヒナの頃から、手を異様に怖がっていた子だ。投薬の間、素直に握られているだけでも、ヤッピーにしてみれば、随分頑張っているのだ。それを、握ったまま他の用事をしに歩いて行かれたのだから、怒って当然だ。

「ヤッピしゃん、ゴメン。悪かった。」と謝るが、機嫌は直らず、お薬を飲んでくれない。くちばしに、たらしたお薬はみんな流れて、ヤッピーの白い羽毛を汚していった・・・。何とか飲ませ終わったときには、ヤッピーはお薬まみれで、拭いてもきれいにならなかった。
結局、昼過ぎに帰宅したときも不機嫌なままであった。普段、おっとりとしているヤッピーがここまで怒るのは珍しい。


診察のとき、素直に白状した。
「実は、今朝怒らせてしまって・・・失敗しました。」

先生も、ヤッピーの気が立っているのが分かったのか、

「じゃあ、ストレスになるといけないから、今日はお母さんに出してもらいましょうか。」

“お母さん”と言われると、何故かトホホな気分になる。前の獣医さんでも、そう言われた。不愉快だとか、そういうことではないのだが・・・何でだろう?

やっぱり、もち

ヤッピーは、ジタバタしていたが、先生に渡されるとおとなしくなった。もう、すっかり病院なれしているのだ。

以前のヤッピーなら、考えられないことだが、今では、病院大好き文鳥になってしまった。



「じゃあ、今日もウンチ見てお注射しましょう。」

まずは体重測定。

「26g、うーん、ちょっと減ってますかね」

と言いながら、先生は全身のチェックをする。


1週間前、チェリーとの兼ね合いで、完全にペレット食に切り替えた際、ちょっと減ってしまったことを申告した。

「あまり無理しないでくださいね。スパルタはダメです。たまに、おやつでシードをあげるくらいはいいですよ。」
(私って、スパルタに見えるのか・・・)


先生は、フンを取って顕微鏡をのぞく。


「前に比べれば減ってきています。このスライドを見て今日は2本でした。まあ、ウンチの量にもよりますけど。」


毎回、“前よりは減っている”と言われるけれど、“前”というのは、一番ひどかったときのことで、実際、ここひと月は変わっていないっていう事なんだろうなーと思いつつ聞いていると、さらにこう言われた。

「肉付きも良くて問題ありませんが、実は、さっきお腹を見たとき ― 文鳥は肋骨のちょっと下に肝臓があって、ときどきちらっと見えたりするんですけど、ヤッピーちゃん、ちょっと見える範囲が大きいかなという気がしました。前回、副作用はない薬ですと申し上げましたが、いくらないと言われていても、注意を払わなくていいという事ではないので、気をつけて見ていきます。もし、今後、肝臓が肥大してくるようなことがあれば、レントゲンを撮って確認するとか、血液(生化学)検査で確認するとかして、肝障害が確認されれば、その時点で投薬を中止するなどの事も提案していきたいと思います。」

恐れていたことが現実になりつつあるのか?

でも、肝臓が肥大してしまってからでは遅いんじゃ・・・その前に手は打てないのか・・・と思った。今すぐにでも採血して検査して欲しいくらいであったが、でも、その判断は獣医さんにお任せするべきだろう。口から出かかっている言葉を飲み込んで、
「必要なら、そのときにはよろしくお願いします。」と頭を下げた。


「文鳥さんにとっては、この薬の量はヘビーだと思います。うーん、あと1箇月・・・いや1箇月半がんばりましょう。」

こちらの心配事に答えてもらえたようで、少しほっとした。通院が長期に及ぶことは致し方ないとは思っていたが、このペースで投薬して半年、1年というのはヤッピーにはあまりに重い負担だ。とりあえず、期限を切ってもらえた事で心も幾分軽くなった。
しかし、その分、完治の可能性は遠のいてしまうのだろう。


前回、チェリーの予防薬をもらうのを忘れてしまっていたので、その事を言うと、

「チェリーちゃんの予防投薬は、あれで終わりです。もしかしたら、今後、チェリーちゃんにもメガバクテリアが出てしまう可能性はありますが、それは定期健診で見つけていこうと思います。」と言われた。

「あ、そうでしたか・・・」
と答えつつ、お互いに言うことや聞く事が多すぎて、抜けてしまう事もあるな、と思った。

ヤッピーの完治の目処が立たない以上、いつまでも予防投薬を続けるのも考え物なので、まあ仕方ないかと、なかば諦めの境地だ。
チェリーの事まで考える余裕もなくなってきていた。


何もかもが八方ふさがりのような気がして、暗い気持ちのまま、この日も病院を後にした。



ヤッピーはもう治らないのだろうか・・・いつかこれが命取りになる日が来るのであろうか?

しかし、希望を失ってはいけないと思った。
あと、1箇月半、ヤッピーのためにできるだけの事をしてやろうと思った。





お注射はイヤだけど、先生は好きです



どんどん、厳しい状況に追い込まれていく中で、ヤッピーが良い病院、良い獣医さんに恵まれた事に感謝した。

警戒心が強く臆病なヤッピーが、主治医に信頼を寄せ、通院を名誉なことでもあるかのように思ってくれている。

ヤッピーが信頼する獣医さんなら、飼い主も安心してお任せすることができるのだ。

たとえ、治らなかったとしても、ヤッピーにとっても、自分にとっても、これは収穫であったのだと思う。







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